せっかくニューヨークへ行くのだから、「誰に話しても恥ずかしくない立派な目標ができてから……」と考えている人も多いのではないでしょうか。
今回、PRライター玉絵が取材させていただいた株式会社アラウンド 取締役の佐藤優哉さんは、具体的なプランをたてず、大学卒業後に「自分を変えたい!」という想いだけで、ニューヨーク行きを決めました。
3か月間のニューヨーク滞在を通して、周りの協力を得ながら、現地でさまざまな価値観を吸収し、現在のビジネスの基盤をつくった佐藤さん。
「ゼロ」の状態から、たった数か月でなぜここまで変わることができたのか。モヤモヤを払拭するためにニューヨークで実践するべきことや心構えについて、教えていただきました。
ニューヨークで、飛び級のように経営者やエグゼクティブと出会えた
───具体的なプランを決めずにニューヨークへ行かれたとのことなのですが、行こうと思ったきっかけはどのようなことだったのでしょうか。
佐藤優哉(以下、佐藤):きっかけは、ニューヨークに行っていた大学の先輩のすすめです。
この連載をつくっているitty selection Inc.代表取締役のかみむらゆいさんなんですが、彼女も、当時は普通のニューヨーク留学生でした。
ある日、ゆいさんから「優哉くんには、ニューヨークは絶対合うからきた方がいいよ!」というメッセージがきまして(笑)突然だったのですが、自分がおもしろいと思っている人がそんな風に言うので興味を持ちました。
当時の僕は、大学を卒業してフリーター生活をしていたんです。日々、漠然と「自分を変えたい」「何か面白いことをしたい」と思っていました。だけど、具体的なプランはなかった……。
そんなときに、僕の性格や状況をよく知るゆいさんからお誘いがきたので、背中を押される形で渡米を決めました。メッセージに書かれていた「ニューヨークは選択肢も視野も驚くほど広がる場所だよ」という言葉が、とくに胸にささりましたね。
───自分の状況や性格をよく知る人物からのすすめなら、安心できるところがありますよね。実際行ってみて、当時抱えていた漠然としたモヤモヤを解消するためにどのようなことをされたのでしょうか。
佐藤:1年前にニューヨークに行ったゆいさんや、その友人たちが築いていた日本人コミュニティがありまして、そこに入れてもらいました。
住むところも、日本人向けのシェアハウスを紹介してもらい、そこに滞在しました。そこでは「こんなに日本人がいるんだ!」と驚くほど、たくさんの日本人と出会えましたね。
ニューヨークでは、日本人はマイノリティなので、とくに経営者さんやフリーランスの人たちは日本人同士で協力し合う風潮があります。だから、つながりが広く、人脈が築きやすいんですよ。
当時、僕が滞在していた家のルームメイトでもあり、そのシェアハウスの経営者でもあった男性も、人脈が広い人でした。
株式会社デジタルインテリジェンスの榮枝洋文さんや、株式会社アムネットの中川扶二夫さんなど、現地で活躍されているエグゼクティブの方と知り合いだったりして。ほかにも日本で普通に暮らしていたら出会えないであろう、企業のトップの方々とも知り合えました。
……ちなみに、ルームメイト&シェアハウスの経営者でもあった男性というのは、今の会社(株式会社アラウンド)の経営陣なんですけどね(笑)こうして帰国後、数年経っても一緒に会社経営ができるようなご縁になりました。
ニューヨークには、役職を超えたフラットなコミュニケーションがある
───いきなり人生に大きく影響する出会いがあったのですね!さまざまな日本人に出会ったということなのですが、コミュニケーションをはかる際に困ったことはありませんでしたか?
佐藤:とくになかったですね。緊張も委縮もせずにいられたんですよ。それは僕のアイデンティティというよりは、ニューヨークの人たちの関わり方のおかげでした。
経営者さんなどとお話しさせていただいたときも、僕に対等に接してくださいました。かつ、とても親身になって相談にのっていただきました。
ニューヨークには、現地の日本人コミュニティがいくつかありますが、とくに僕がいたところは、よく知る先輩が関わっていたコミュニティなので、安心して参加できました。これからニューヨークへ行きたい人にも、そのような環境を活かしてもらいたいです。
───それは魅力的な環境ですね。そのような環境で、出会う人が日本人でも、滞りなくコミュニケーションをはかれるのは佐藤さんの人徳だと思います。日本でも異業種交流会が多くありますが、違いはありますか?
佐藤:思い返してみると、ニューヨークでは現地の日本人とばかり話していました。せっかくニューヨークにいるのに、「もったいないよ」って思う人もいるかもしれません。でも、経営者やエグゼクティブ、一流のクリエイターやアーティストなど、日本ではなかなか会えない人と会える。むしろ、それがよかったし、ニューヨークの魅力ですね。
日本では、自力でコミュニティを広げ、企業のトップに出会うって大変なことですよね。日本の異業種交流会だとビジネスの側面が強く、出会えても若造は相手にされない場合もありますし。
でも、ニューヨークの異業種交流会って、ビジネスパーソンやクリエイターの他、学生や休暇でニューヨークにきている人も歓迎されます。さまざまな年代、業種、目的がある人たちに出会えて刺激を受けられるのも魅力です。
そんな生活をしている中で、ビジネスのチャンスも得られました。現地でできた友人が毎年世界中から何億人と集まる、タイムズスクエアのカウントダウンイベントの仕事に携わっていて、手伝わせていただいたんです。
ニューヨークにいって1か月めのことでした。これは、日本にずっといたら、何年かかってもきっとできなかったくらいの経験でした。
人生に対するモヤモヤは消え、意思決定に自信が持てるようになった
───ニューヨーク滞在を経て、現在の仕事に活きていることはどのよう点ですか?
佐藤:そもそも、現在の仕事そのものが、ニューヨーク滞在があったからこそ実現したものです。うちの会社の役員は、僕を含めて3名ですが、全員ニューヨークをきっかけに出会っていますから。
現在の会社の形になるまで、メンバーの入れ替わりや事業内容の変化など、いくつも困難がありました。でも、辞めたいと思ったことはありません。
困難がある度に、むしろ「この人たちとならまだまだ面白いことができるはず!」と感じるんです。彼らといると、ニューヨークにいとたきのようなワクワク感が、今でもあるんですよね。そうやって刺激を受けつつ信頼もできる一生ものの人たちと出会えたことがとても嬉しいです。
また、「自分の人生とは」「働くとは」について、より深く考えられるようになったことも今でも活きています。ニューヨークへ行く前までは10までしか考えられなかったのが、「100まで考えよう!」と思えるようになったんですよね。それは、そのように生きている人たちとの出会いがあったからこそです。
───では、最後に、ニューヨークへ行ったらするべきことってありますか?
佐藤:日本人コミュニティやホームパーティに参加することですね。
日本で探すよりも日本人のイベントは少ないので、案外簡単に経営者クラスの人に出会えたりして、自分の生活範囲では出会うことがないであろう人に会えますよ。
少ないとはいえ、日本人コミュニティはいくつかあるので、自分に合うか合わないなど頭に入れて選ぶと、ストレスなく交流できると思います。
もちろん、出会いがあっても、力を貸してもらえるか、関係を継続できるかは、自分次第ですが。ぜひ、英語や勉強のためだけじゃなく、出会いのためにニューヨークに行ってみてください!
<インタビューを終えて>
今回取材を担当した、玉絵ゆきのです。
佐藤さんのお話を聞き、ニューヨークには日本人が多くいること、また、出会えて交流できる場があることを始めて知りました。異国の地へ行っても、日本人と話せ、情報収集や共有ができるのは安心できますね。
大学卒業時のこれからの自分の人生に対するモヤモヤは、わたしにも経験があるのですが、実際にバイトという形態でなく自分が働くこと、大人と交流することで「働く」ことがグッと身近になり視野が広がる話は、若者のリアルな心情で共感できました。
もし、ニューヨークに誘われたとき「外国へ行ったことがないからやめよう」などと理由をつけて行かずに日本で過ごしていたらモヤモヤは解消せずにいたかもしれません。
「行くことで何か変わるかも」というピンと心が反応したことを見逃さず、実行したことで、今回お伺いできたような素晴らしい経験ができたのだと思います。「心が反応したら、前向きに検討すること」これを意識すると、人生を変えるきっかけをつかめるかもしれないと感じた佐藤さんのお話でした。
(取材・執筆:PRライター 玉絵ゆきの / 編集:PRライター 伊藤聡志)
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