アメリカで起業なんて、夢のまた夢。そんな風に思っていませんか?
ニューヨークをはじめ全米で、旅行会社や人材派遣会社、出版やイベント会社など計9社を経営されている中川扶二夫(なかがわ ふじお)さんは、「ニューヨークにはビジネスチャンスが溢れている。ぜひチャレンジしてほしい」と語ります。
実際に、ビザサポートや起業サポートを通じて、多くの日本人の夢を実現に導いてきた中川さん。ニューヨークに住み、ビジネスをすることの魅力を伺いました!
ビジネスチャンスがいっぱい!「NYで働く」は、意外と簡単
───中川さんから見て、ニューヨークは、どのような街なのでしょうか。
中川扶二夫(以下、中川):ニューヨークはビジネスをするのに、とっても良い街ですよ。チャンスで溢れています。
世界中から色んな人種が集まっているので、何でも受け入れてくれる。どんなニッチな商売を始めても必ずマーケットがあります。
もちろん、億万長者になれるのは限られた人たちですが、「そこそこいい給料で働く」というは意外と簡単にできてしまいます。
ビジネスだけでなく、ニューヨークは人に対して優しいところが良いですね。人種差別がないとは言い切れませんが、困っている人がいると反射的に手を差し伸べます。
たとえば、電車で席を譲るときも、「譲ろうかどうしようか」と考える暇もなく「さっ」とカラダが動いてしまうような人が多い。そんな文化なんです。
───はじめからニューヨークにはチャンスがあることを知って渡米されたのでしょうか?
中川:いいえ。もうアメリカには28年いますが、渡米した理由はアメリカに住みたかったから。それだけです。あと、アメリカ人と結婚したかったからですね(笑)
実は、学生時代にサンフランシスコに留学していたのですが、そのとき交通事故にあってしまったんですよ。車が壊れてしまい、アルバイトをして修理しなければならなくなりました。
ようやく見つけたアルバイトが、お土産屋さんの客引きだったんです。お給料は成果報酬型でしたが、外国人を相手に声をかけても、最初はまったく来てもらえず、いろいろと試行錯誤しましたね。
結果的に、ツアーできている日本人の団体のお客さまを一気に連れていって売上をあげよう!と思いつきました。そんな風に工夫することで、ビジネスのおもしろさに気づいていったんです。
帰国後は、旅行代理店で働いていましたが、「またアメリカに住みたいという想い」はなくなりませんでした。「20代のうちに」というこだわりで、29歳のときにニューヨークへ来たんです。
起業時の苦労や9.11テロ事件で実感した、「人」の大切さ
───現在はニューヨークを中心に9社も経営されていますが、ここまでどのように展開してこられたのでしょうか。
中川:起業したのは、ニューヨークへ来て、すぐです。旅行会社から始まり、人材派遣会社、フリーペーパー、カフェ、イベント会社……と増やしていきました。
最初の旅行会社の経営は大変でしたよ。日本から来るお客さまを受け入れるのですが、何とかマンハッタンにオフィスを借りたものの、その家賃を払うだけで精一杯でした。
机を買うこともできずにタウンページのような無料配布の電話帳を積み重ねてデスクにしていた時期もあります(笑)
そんなオフィスで商談をすると「応援するから!」と、みんな応援してくれるんですね。人に助けられながら、成長してきました。そのあたりのことは、以前、テレビ番組(※1)で語ったのでよかったら見てみてください。
───旅行会社を起業したことで、アメリカンドリームを叶えられたということですね! そこからさまざまな会社をさらに立ち上げられたのは、なぜでしょうか?
中川:旅行会社の経営がとても順調だったころ、9.11が起きたんです。テロがあると飛行機は飛ばなくなりますよね。つまり、集客はゼロ。売上もゼロです。
経営をつづけていけるのかと迷いましたが、起業してから10年分の貯金がありましたから、社員の雇用を守ることに決めました。
だって、私にとって社員は家族のようなものですから。「お金がないから」といって、家族を首にはしませんよね。
そうして、旅行会社だけではリスクが高いと思い、人材派遣会社を作ったんです。人材派遣会社にしたのは、やはりテロを通じて「人」ほど大切なものはないなと実感したからでした。
その後は、社員にたくさんの選択肢を与えたいと思い、さまざまな事業を展開してきました。今でもうちでは「解雇」は、ありません。
社員は家族。ビザサポートで、たくさんの人の夢を叶えたい
───社員のみなさまを、ご家族のように想われているんですね。
中川:はい。そのルーツは、自分がサラリーマンのときに良い上司に恵まれたからでしょうね。ニューヨークで起業してビザを取るときも、社長のサインが必要でしたから。
これまでたくさんの先人たちに助けてもらってきたことを、自分も次の世代に返していこうと考えています。
それに、今こうしてたくさんの会社を続けていけるのは、間違いなく社員のおかげです。私は、社員の笑顔を見るのが大好きなんです。
「家族型経営」と呼んでいるのですが、たとえば、自分の娘や息子が仕事をサボっていたら、ときには厳しく叱らなければいけませんよね。「辞めちゃうんじゃないか」という思いと格闘しながらも、やはり伝えないといけない。家族ならどうするか、を判断軸にしています。
プライベートなことも、いつでも相談に乗れる体制を整えていますよ。もちろん、ずけずけとプライバシー侵害はしませんが、「最近、どう?」と仕事以外のことにも興味を持って、こちらから声をかけるようにしています。毎年、社員全員で社員旅行もしています。
───とても温かくて良い社風ですね。社員さんたちの絆が深そうです。
中川:深いと思いますよ。ただ、人数が多いので、やはり兄弟喧嘩じゃないですが、いろんなこともあります(笑)でも、家族円満でいられるようベストを尽くしています。
私は、日本の若者には、どんどんニューヨークに来て夢を実現させてほしいと思っているんです。だから、社員として働けるビザサポートはもちろん、社員は希望者全員にグリーンカードサポートもしています。
アメリカで生活していきたいという夢を持って、うちで働いてくれているのだから、できる限りのことをしてあげたいと思っています。その人が夢を実現できたら、次はまた新しい若者を採用していってほしいですね。
NYには助けてくれる人が、必ずいる。だから安心して来てほしい
───なぜ、日本の若者にはどんどんニューヨークに来てほしいのでしょうか?
中川:アメリカで成功したいという夢があるなら、ただ、それを諦めないでほしいのです。私自身が、今、ニューヨークに住んで、こうしてたくさんのビジネスができていることがとても幸せですから。
あまり考えすぎないで、とにかく来てほしいと、私は思っているんです。だって、世の中は日々進化していて、情報も変わり続けていますよね。「計画通り」になんていかないことの連続です。
例えば、iPhoneだって今はiPhone7まで出ているけれど、1があったからここまで来ています。とにかく最初の1歩というのはとても大切なんです。
起業をするにしても、極端に言えば、会社を創ってから何を売るか決めてもいいくらい。起業前に、営業やマーケティングなど、あらゆる分野を勉強する人もいますが、苦手な分野は人を雇えばいい。
いざという時は助けてくれる人が、必ず、います。だから皆さんには、チャレンジしてほしいですね。
───最後に、「ニューヨークで働いてみたい、住んでみたい」という方々にメッセージをお願いします!
中川:私は、留学中に事故を起こして、大学もけっきょく卒業していません。学歴はなく、ビジネスについてたくさん勉強していたわけでもありません。
それでもこうしてニューヨークを中心にLAやシカゴ、日本にも支社を持ってビジネスをしています。皆さんにも、できる!ということを、伝えたいですね。
私は、日本人の若者を支援する活動としてNPO法人「JaNet」の理事も務めています。「JaNet」には、さまざまな日本人が関わっていますが、私の場合は、起業アドバイスをすることで、人の夢を実現するサポートをしています。
そんな風に、助け合えるコミュニティもたくさんありますので、ぜひニューヨークに来てください!
(取材:かみむらゆい/執筆:PRライター Kisa)
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