海外に住みたい、海外で働きたいという方のために、現地で活躍する日本出身者にインタビューをするこの連載。
今回お話を伺ったのは、ハワイで野生のイルカに会いに行くツアー「イルカの学校」を運営しているIruka Yurikoさんです。「名門イルカ大学」や「ワイキキ名門カメ大學」などからなる「イルカの学校」は、2008年から現在まで利用者30万人以上。有名バラエティ番組などでも多数、取り上げられています。
Yurikoさんは「イルカが好き」という気持ちからイルカに関する仕事を始め、28年間好きなことを仕事にしつづけています。
「大好きなハワイでやりたいことが実現できたのはすべてイルカと出会えたおかげ」というYurikoさんに、PRライターのEri Inoueがハワイの魅力と夢のつかみ方をお伺いしました。
「やる」と決心して行動するからこそ、サポートしてくれる人が現れる
───なぜハワイで起業しようと思ったのでしょうか。
結婚をして長女ができたのですが、実は、ハワイで亡くなったんです。それがきっかけで住みはじめたのですが、離婚をすることになって。家族を支えるために働かなければならなくなりました。
もともとイルカが好きで、友人がやっていた、カヤックでイルカに会いに行くツアーのお手伝いをしていたのですが、縁あってそのツアーを引き継がせてもらうことになったんです。
なので、絶対にこの仕事をすると決めていたわけではなく、好きなことに関わることをしていたから、そのタイミングを頂けたのだと思います。
引き継ぐと決めた時は、イルカと会う感動をたくさんの人に体感してほしい、きっとお客さまを幸せにできる!という想いでした。
今でこそ社員も50名以上いて自社で船を持てるようになりましたが、当初は自分がお客さまを先導し、キャプテンも船もすべてお借りしていました。
苦労もありましたが、好きな場所で好きなことを仕事にしていたので、幸福度はとても高かったです。
自然を扱うお仕事なので、天候ほかたくさんのコントロールできない大変な状況もありましたが、やりたいことをつらぬき通していけたのは、穏やかな時間が流れ、いつでも心が落ち着いていられるハワイの環境だったからだと思います。
───ハワイで起業しようと決意して、まずなにからはじめましたか?
ただただイルカとお客さまたちを会わせてあげたいという想いで、そのために必要なことを考えてました。最初は自分で船のリース手配から。そして、お客さまを集めて、古いバンを運転してイルカのもとへお連れてしていました。
事業をやろうと思ったとき、十分な資金はありませんでした。でも、母がサポートしてくれたんです。たまたま親の助けがあったとも言えますが、本当にやりたいことを決心した人には、誰かが助けてくれるものなのだと思います。
現実的には銀行融資を受けるなどのいろいろな方法があるので、まずは「やりたいことをやる」と、決めて行動してほしいですね。
事業を始めてから、イルカとお客さまにとって最善のことは何かを、ひたすら考えて実行していたんです。そうすると、お客さまを紹介してくださる方がいたり、同じ目標を持った従業員が集まってきたり、素晴らしい人たちが現れて会社をサポートしてくれました。
あの人たちがいなければ、今の自分はありません。この事業も続いていなかったかもしれませんよね。本当に今でも感謝しています。
前向きでいる人には、人が集まる。それがビジネス成長のカギ
───ハワイで働いていて苦労したことはありましたか?
当時は、まだ私のような日本からきた女性がハワイで会社を立ち上げるというのは珍しかったんです。新しいビジネスをはじめたことを快く思わない人たちから、身に覚えがないことでトラブルに巻き込まれたこともあります。
お金も時間もかかりとても苦労しましたが、自分がやっていることは間違っていないと信じて、毎日喜んでもらえるお客さまを増やすためにできることをしつづけました。
諦めずにやるべきことに務めているうちに事態は好転し、トラブルも解決することができ、会社もさらに成長しました。
諦めず、そのときの「今」を前向きに生きていたことで、よりよい未来が待っていたんです。
ある経営者の方が「あとから振り返ってその点をつなげていくと、過去に起こったことはすべて必要なことだとわかる。その結果、今があるのだから」とおっしゃっていました。私自身、振り返ってみると今まで無駄なことなんてなかったと感じます。
辛い状況の中でも、今ある良いものに目を向けてどんなことにも感謝し、寛大な心で許すことができれば、未来の大きな成長につながるはずです。
───どんなことがあっても前向きでいられる秘訣はありますでしょうか?
前向き思考でいることは、幸せの秘訣と信じることでしょうか。前向きな人といるほうがネガティブな人といるよりも楽しいですよね。
元気で明るい人に、人は集まっていきます。笑顔でいる瞬間は自分自身もハッピーなはずです。
そうして周りと関わっていたからこそ、たくさんの素晴らしいスタッフや友人、お客さまやビジネスパートナーに恵まれたのだと思います。おかげさまで、起業してから今まで借金もなくこんなにも大きな会社にすることができたんです。
すべては自分次第。環境や会社のせいにせず、前向きに改善策や解決策を探すと必ず状況はよくなります。
たとえば、ときには従業員とぶつかることはあります。そんなときは自分の意見や感情優先なのではなく、謙虚に「周りの人にとってベストなこと」を考えて選択します。「何のためにやっているのか」と初心に戻って、みんなで一緒に考えると歩み寄れ、解決できることも多いです。
もちろん、どうしても自社や他のスタッフと合わない人などもいますが、それも誰のせいでもなく、それぞれの生き方があると尊重して気持ちよく終われるように心がけています。
自分次第で、環境も人も変えられる。小さなことから挑戦しつづけよう
───仕事をする上で大切にしていることはありますか。
日々起きるできごとは、すべて自分が関わっていること。とくに自然に対しては自分ごとの意識を強く持って働いています。
人間がこのままの暮らしをしていれば、環境によくないのは明らかですよね。いつか人間が住める星ではなくなってしまいます。
たとえば、多くの日焼け止めの中に入っている成分が、海の生態系をこわす危険性があることを知らずに使っている人はいまだに多いです。
自分がどういうものを使っていて、周りの環境にどういう影響を与えるかを従業員、お客さまに伝えています。言葉だけでなく、映像でわかりやすく伝えられるようにと改善をしているところです。
自然を大切にすることを教えてくれたイルカたちに、お客さまたちと自然を守ることによって、感謝をお返しするのが私の使命です。身近なところから自分たちの生活や働き方を見直して、自分が行動していく。
そういう人には、周りを変えていく影響力があります。たった1人の力から変えていけることは、たくさんあるはずです。
───ハワイで夢を叶えたいという人たちにメッセージをお願いいたします。
ビザの問題もあるので、海外で働くことは簡単と言い切れることではありません。それでもやりたいことや夢が明確なら、ぜひチャレンジしてほしいです。
すぐにはハワイで働けなくても、ハワイに旅行にくることはできますよね。そこから見つかる、現地ならではの情報があるはずです。
まだやりたいことがない人にとっても、ハワイはいい場所ですよ。時間がゆっくり過ぎますし、穏やかな空気が流れています。心に余裕もつくれます。すると、焦ることなく、やりたいことについてじっくり考えられるかもしれません。
さまざまな事情で、どうしても行けないのなら、まだ今の場所でやれることをやりきっていないのかもしれませんね。そんなときは、環境のせいにせず、目の前のできることに全力を注ぎながらタイミングを見計らってください。
そのうちヒントが見つかったり、仕事でいい成績が出て海外転勤をすることになったりするかもしれません。
夢を追わずに淡々と働きつづける人生も、素晴らしいし、すごいことだと思います。でも、人生はあっという間に過ぎてしまいます。後悔しないよう、やりたいことには、挑戦していってほしいですね。
インタビューを終えて
取材させていただいているとき、Yurikoさんは「イルカのおかげで今がある、すべてはイルカのおかげ」とずっとおっしゃっていました。
最初から大きな夢を持っていなくても、イルカとお客さんを会わせて幸せにしたいという想いから、従業員を幸せにしたい、地球を良くしたいと夢が大きくなっていったプロセスを聞いて、小さなことからやりたいことに挑戦しつづけていたら、気づいたら大きな夢になっていて、小さいことから実現できるんですね。
私も小さなことから大きな夢をえがき実現できるように、今ある状況でできることに挑戦しつづけます!
(執筆:PRライター Eri Inoue / 編集:PRライター 吉川実久・井澤久美子)
関連情報
雑誌やテレビ取材も、多数。ハワイで人気のイルカと泳ぐツアー「イルカの学校」が10周年を迎え、利用者数30万名を超えました〜私立イルカ中学・名門イルカ大学〜
0コメント